「永字八法」とは何ですか?

「永字八法」とは何ですか?

「永字八法(えいじはっぽう)」というのは、楷書を練習するときにとても役に立つ、中国の書道で使われる基本的な筆の動かし方のことです。

永字八法って何?

「永字八法」とは、漢字の「永」という一文字の中に含まれている8つの基本的な筆の運びを使って、ほかの漢字を書くための基礎を身につける練習方法です。この「永」という字には、点や横線、縦線、はね、払いといった、さまざまな筆の使い方が詰まっているので、書道を始めたばかりの人にもぴったりの練習材料になります。

どこから来たの?

「永字八法」のはじまりについてはいくつかの話がありますが、よく名前が出てくるのは次の3人です:

  • 王羲之(おうぎし):東晋時代に活躍した有名な書道家で、『蘭亭序』という作品の最初に「永」の字が出てくることから、その書き方がもとになったと考えられています。
  • 智永(ちえい):隋の時代の僧侶で、王羲之の子孫です。『真草千字文』という作品を残しており、「永字八法」を広めた人物とも言われています。
  • 張旭(ちょうきょく):唐の時代の書道家で、草書で知られていますが、筆の使い方に関する考え方にも貢献したとされています。

こうした人たちの影響で、唐代以降、「永字八法」は書道を教えるときの基本として広く使われるようになりました。

8つの筆の動きのくわしい内容

「永」の字を書く順番に合わせて、次の8つの筆の使い方があります:

番号 筆画 名称(読み) 特徴・イメージ
1 側(そく) 鳥が急に横に飛び降りるように、斜めに素早く筆を下ろす動き。
2 横画 勒(ろく) 馬の手綱をしっかり引くように、力強く横に引く動き。
3 縦画 努(ど)※弩とも書く 弓のように少し内側に張りを持たせて、まっすぐすぎず下ろす動き。
4 はね 趯(てき) 兎が跳ねるような勢いで、鋭く上に向かって跳ね上げる動き。
5 短い上払い 策(さく) 鞭で馬を打つように、上に向かって素早く払う動き。
6 長い払い(ひらがなの「ノ」) 掠(りゃく) 櫛で髪をとかすように、長く滑らかに筆を動かす動き。
7 短い払い 啄(たく) 鳥が餌をついばむように、短く素早く下ろす動き。
8 右下のはらい 磔(たく) 犠牲を裂くような力強さで、筆先を広げながらしっかりと押さえ込む動き。

なぜ「永」の字を使うの?

見た目は5画しかない「永」ですが、書道では次のように8つの筆の動きに分けられます:

  1. 側(点)
  2. 勒(横画)
  3. 努(縦画)
  4. 趯(はね)
  5. 策(右上の短い払い)
  6. 掠(長い払い)
  7. 啄(左上の短い払い)
  8. 磔(右下のはらい)

つまり、ほぼすべての基本的な筆の動かし方が一つの字に入っているため、「永」を練習することで、書道の基本を効率よく学べるのです。

今でもどうして役に立つの?

  • 初心者にちょうどいい:筆圧やスピード、向きといったことを段階的に練習できます。
  • 字のバランスがよくなる:それぞれの筆画がうまく調和することで、全体としてきれいに見えるようになります。
  • 東アジアで共通のルール:日本や中国、韓国など、漢字を使う国で広く使われている基本のやり方です。

最後に

「永字八法」は、単に技術を集めたものではありません。昔から伝わる、美しい字を書くための体の使い方や感覚を学ぶための大切な方法です。