
「兼愛非攻(けんあいひこう)」というのは、中国の戦国時代に生きた思想家・墨子(もくし)が唱えたとても大切な考え方で、すべての人を分け隔てなく大切にし、国と国が争うような戦いをやめようというメッセージが込められています。
「兼愛非攻」の出典:『墨子』
この考え方は、『墨子』 という本の中に書かれていて、特に「兼愛篇」と「非攻篇」という章で詳しく説明されています。
- 書いた人:墨子(およそ紀元前5世紀)
- 属していたグループ:墨家(ぼっか)
- 書かれた時代:戦国時代(紀元前5世紀から3世紀ごろ)
『墨子』は墨子本人とその教えを受け継いだ弟子たちが一緒にまとめた本で、当時の中国では儒教と並んで広く知られていた学問の一つとして、「顕学」と呼ばれていました。
「兼愛」とは何か
「兼愛」とは、身分や家族関係、出身国といった違いに関係なく、すべての人を同じように思いやる心のことで、これは儒家が大事にしていた「仁愛」——つまり親や身内を中心に愛する考え方——とはまったく違うものです。万人に対して公平に優しくしようとする、とても広い心の持ち方だと考えられます。
「天下の人がお互いを思いやれば、国は乱れず、家庭もうまく回り、盗みをする人もいなくなり、君主と臣下、親と子の関係も自然と整うだろう。」
「非攻」とは何か
「非攻」とは、自分たちよりも弱い国を力で攻めることを強くよくないとする立場のことで、墨子は大国が小さな国を侵略することをはっきりと批判しました。「大きな国は小さな国を攻めてはいけないし、強い立場の人は弱い人を傷つけてはならない」と彼は言っています。
ただし、墨子がどんな戦いも全部ダメだと言っていたわけではありません。自分たちを守るために戦うことは許されると考えており、実際に彼自身が小国の城の守り方を助けるために、防御の工夫をした話も残っています。
今だからこそ注目される「兼愛非攻」
- 世界の平和:武力ではなく、話し合いを使って問題を解決しようとする姿勢。
- 公平な社会:差別や格差を減らして、みんなが幸せになることを目指す考え方。
- 資源を大切にする:無駄な使い方をやめようとする「節用」や「節葬」といった関連する教えも、最近また見直されています。
まとめ
「兼愛非攻」は、『墨子』 に書かれた墨家の基本的な考え方で、誰に対しても分け隔てなく優しくし、他国を攻めるような戦いをやめようという内容です。








