
中国の正史二十四史の中でも特に評価が高いのが、最初に書かれた四つの歴史書、つまり「前四史(ぜんしし)」と呼ばれるもので、その中に『史記』『漢書』『後漢書』、そして『三国志』が含まれています。
「前四史」とは何か?
「前四史」とは、二十四史の中でいちばん古く作られて後世に大きな影響を与えた次の四つの本のことで、それぞれ司馬遷の『史記』(前漢)、班固の『漢書』(後漢)、范曄の『後漢書』(南朝宋)、そして陳寿の『三国志』(西晋)です。
これらはすべて個人が自分で調べて書いた歴史の本ですが、後に国が正式につくる歴史書のモデルとなりました。
『三国志』が前四史に入った主な理由
1. 当時の人だからこそ書けた正確な記録
著者の陳寿(233–297年)はもともと蜀漢の出身で、その後西晋の役人になりましたが、諸葛亮が亡くなった直後に生まれたため、蜀の元の役人たちや魏の公文書に直接触れることができ、信頼できる情報をもとにこの本を書くことができました。
また、後になって書かれた小説『三国志演義』のように登場人物を神様のように描くのではなく、実際にあったことをもとにシンプルで飾らない書き方をしています。
2. 三つの国を同じように扱った新しい構成
魏・蜀・呉という三つの勢力が同時に存在していた珍しい時代を、どれか一国の立場に偏ることなく、三つを対等に並べて記録した点がとても画期的で、このやり方はその後の分裂時代の歴史を書くときにも参考にされるようになりました。
3. むだがなく、しっかりとした文章のつくり
『三国志』は余計な言葉や書き手の感想を入れず、短くてわかりやすい文章で書かれているため、昔から「すぐれた歴史書だ」と評価されており、後に裴松之が詳しい注釈をつけたことで、歴史資料としての価値がさらに高まりました。
まとめ
『三国志』が「前四史」に入っているのは、ただ有名だからというわけではなく、同時代に生きた人が見た事実に基づいて書かれていること、三つの国を公平に描いていること、そして全体を通して質の高い歴史書になっていることが理由です。








